最高裁判所第三小法廷 昭和28(オ)1329 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人小林亀郎、同矢部善夫の上告理由第一点について。
論旨は原判決が、上告人の営業を不能ならしめ又は営業を奪う請求を認容するも
のであるということを前提として、憲法違反を主張する。しかし原判決は、本件係
争家屋中所論B建物については、それが表通に面した店舗兼住宅であつて上告人が
永年その営業の本拠として使用して来たものであり、今これを明渡すことは営業上
の利害と信用からいつても多大の不利益を蒙るであろうことその他諸般の事情を慮
つて、その明渡しの請求を認容せず、倉庫であるC建物についてのみ明渡を命じた
のである。この判示に従えば、上告人がC建物を明渡したからとてそのために営業
が不能となり、もしくは営業を奪われることになるとは認められない。そうだとす
れば、所論違憲の主張は、その前提を欠くものであつて採用できない。また原審が
C建物について被上告人の明渡の請求を認容した理由は、原判決に委曲を尽して説
明しているとおりであつて、まことに相当と認められ、その問所論のように借家法
一条の二の解釈を誤つた違法はない。論旨は理由がない。
同第二点について。
本件C建物の賃貸借を解約するにつき、被上告人に正当の事由ありとした原判決
の相当であることは、上に説明したとおりである。原判決は賃貸借の当事者双方の
利害関係その他諸般の事情を比較考量した結果、C建物に関する限り上告人の主張
よりも被上告人の主張を認めるだけの一層重き理由ありとしたのであるから、所論
援用の判例に違背するところは少しもない。また原判決が所論の諸点に論及しなか
つたからとてこれを違法ということはできない。論旨は理由がない。
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その余の論旨はすべて「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する
法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、
又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとお
り判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
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